修正図
詰将棋というのは大抵のところ、よく考えずに作ると余詰があるものである。以前はこれを、全て人力で検討していた訳で、今から思えば当然ながら穴だらけだった。
最近は、実用的な解図力のあるソフトウェアが手頃な価格で入手でき、個人ユースのパソコンでも十分に実力を発揮するようになった。このため、特に短編詰将棋では検討(余詰さがし)はパソコンソフトを全面的に信頼している。というより、パソコンソフトで見つからなかった余詰を、私が見つけられる訳がない。多分、他の人も見つけられないんじゃないかと思う。
その代わり、といっては何だが、過去の発表作で当時は完全作とされていた作品に余詰が見つかるようになった。記憶に残らないような作品や、一般向け新聞詰将棋は、誰も検討のやり直しなんてやらない。だから、新たに見つかる余詰は、それなりの作品と相場が決まっている。
私の場合は、過去の発表作を改めて作品集に収録する、というような場合に検討のやり直しをする。そんな程度でいくつか新たに余詰が見つかるのだから、私の発表作で完全で通っているものも、よく調べれば1割か2割は余詰があるのではないかと想像している。でも調べる気にならないだけだ。過去の発表作全てを検討し直した作家がいたとしたら、真性マゾだと思う
上の図も修正図。しかも作品集「KOBO」に収録したものだが、後になって余詰が見つかった。指摘してくれたのは小林敏樹さんだが、確認のために柿木将棋で解いてみたら、直ぐに見つかった。
ほとんどの場合、修正すると悪くなる(駒数が増える、着手の味がなくなる、等)なのだが、珍しいことに良くなった。作図した当時は、左辺に追って詰む筋が多いこの図を、さらに左に寄せて完全作になるとは、思いもしなかった。